時間には間に合っているのに
今日は、古い家の解体に関する打ち合わせのため戸畑に向かいました。物件で午後二時から所有者の方と落ち合う予定でした。余裕を持って動こうと少し早めに事務所を出ることにしました。40分もあれば十分だろうと思っていたのです。
物件には開始15分前に到着しました。ところが、ここで予期せぬ問題に直面します。近くに車を止める場所が見つからないのです。あたりを何度も車で回り、注意深く探してみたのですが、駐車できそうなスペースはどこにもありません。時間だけがじりじりと過ぎていきます。
焦りを感じながらスマホでコインパーキングを検索しましたが、驚いたことに、半径1キロ以内には一つも見当たりません。周囲にはコンビニやベスト電器のようなお店がありますが、無断駐車という選択肢は私の中にはありませんでした。いったいどうすればいいのか。スマホの時計を見るたび、残された時間が少しずつ消えていきます。
久しぶりに息が上がる
そんな中、物件から約500メートルほど離れた場所にイオンがあることを知っていたのですが「ここに止めるしかないか」と思いなも、その距離がどうにも気になります。遠い。歩けば時間に間に合わないかもしれない。しかし、それでも打ち合わせを遅らせるわけにはいかず、とうとう決断しました。
イオンの駐車場は1時間無料。さらに買い物をすれば3時間無料になるという便利な仕組みです。しかし、この状況では買い物どころではありません。車を止めたとき、残された時間は5分しかありませんでした。慌てて車を降り、冷たい風の中を小走りで向かいます。物件までの道のりが妙に長く感じました。
そして、ようやくたどり着いたのは開始の1分前。間に合ったという安堵感とともに、胸の内には汗ばむような緊張感がじわりと広がります。一息つき、私は何事もなかったかのように玄関の扉をそっと叩きました。