一週間ぶりに出社してきたスタッフの話
きょう、ひとりのスタッフが一週間ぶりに職場へ戻ってきました。先週の木曜日、実の妹さんが突然この世を去られ、通夜、葬儀、そして諸々の手続きを終えての出勤でありました。
お正月の家族の集いでは、笑顔も見せていたとのこと。まさか、そのすぐ後に原因不明の難病が発症し、年明けの終わりから入院生活に入ることになるなど、誰が想像できたでしょうか。
「長くお休みしてしまい申し訳ありません」と、やや疲れた表情で彼は静かに頭を下げました。
葬儀では、不思議な出来事があったそうです。妹さんがかつて勤めていた会社の専務をはじめ、約二十名の社員が通夜に駆けつけ、翌日の葬儀にも社長以下、多くの社員が参列されたといいます。
静かなる敬意のかたち
その会社は全国展開するセメント製造業で、市内に本社を構え、三百名規模の企業であるとのこと。妹さんはその会社では事務の仕事をしていたそうですが、正社員ではなく契約社員だったとのこと。しかも三年も前にその会社を退職していたそうです。
それでも、こうして多くの方が弔問に訪れてくださったことに、彼はただただ驚き、ありがたいなと深く感謝したそうです。
社長に「なぜ妹のことを知ってくださったのですか?」と尋ねると、「風の便りで耳にしました」と一言。
妹さんの真摯な働きぶりと愛社精神が、今なお誰かの心に残っていた証なのかもしれません。そして私個人もこの会社の人情の深さに心を打たれました。